髪の毛に必要な栄養素「アミノ酸・亜鉛・ビタミン」の役割

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

「ハリやコシのある髪の毛を維持したい」「抜け毛や薄毛(AGA)を予防したい」と、髪の毛に関する悩みを抱えている人は少なくないでしょう。

そんな方は、髪の毛の健康や成長に必要な栄養素を積極的に摂取して、気になる悩みを改善しましょう。

この記事では、WebメディアやInstagramを中心にスキンケア知識の啓発に務める医師、吉岡容子先生の監修のもと、意外と知らない髪の毛の成分や髪の毛に必要な栄養素をまとめてご紹介します。

監修者
医療法人容紘会 高梨医院 皮膚科・美容皮膚科 副院長 吉岡 容子 先生
  • 高梨医院
  • 皮膚科・美容皮膚科
  • 副院長 吉岡 容子
  • 東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局
  • 明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚 院長を務めたのち、
    2014年「高梨医院 皮膚科・美容皮膚科」を開設。2019年より副院長。

【資格】
麻酔科標榜医、麻酔科認定医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医、日本レーザー医学会会員、
日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員、点滴療法研究会マスターズクラブ会員

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているわけではございません。

髪の毛の成分と必要な栄養素

毛の周期髪の毛が作られる毛母細胞では、一定のサイクルで「成長」「退行」「休止」を繰り返しています。

髪の毛の約70~80%が成長期に当たるため、髪の毛が成長しやすい環境を整えることが大切です。髪の毛の成長に必要な栄養素が足りていないと、このサイクルが乱れたり抜け毛や薄毛(AGA)の原因となったりします。

成分そこで、積極的に摂取したい栄養素が「アミノ酸」「亜鉛」「ビタミン」の3つです。

髪の毛の主な成分は、18種類のアミノ酸が結合してできる「ケラチン」です。髪の毛や爪、皮膚などの角質層を作っています。そのため、ケラチンを生成するためのアミノ酸が不足してしまうと、健康な髪の毛が育ちません。

「亜鉛」は、髪の毛の主成分となるアミノ酸の結合を手伝う栄養素です。亜鉛のサポートによりアミノ酸が結合して、髪の毛を構成するケラチンとなります。しかし、体内に吸収されにくい性質を持つ亜鉛は、そのまま摂取するだけでは力を発揮することができません。

そこで登場するのが「ビタミン」です。ビタミンには、亜鉛の吸収を助ける作用があります。

このように、3つの栄養素をバランスよく摂取することで髪の毛の主成分となるケラチンを補給し、髪の毛の成長を促すことが期待できるでしょう。

髪の毛の主成分“アミノ酸”の役割と摂取の方法

私たちの体は、約60~70%が水分、そして約20%がタンパク質でできているといわれています。

タンパク質は、内臓や血液を作っているだけなく皮膚や髪の毛の生成にも欠かせません。髪の主成分のケラチンも、18種類のアミノ酸が結合することでできています。

ケラチンを生成している主なアミノ酸の中でも、重要なのが「アルギニン」「メチオニン」「シスチン」の3つです。

アルギニンには成長ホルモンを促進する作用が、シスチンには髪の毛や皮膚を丈夫にする作用が期待できます。メチオニンは、シスチンの生成に必要なアミノ酸となるので、ケラチンの生成には欠かせません。

このようなアミノ酸が不足すると、ハリやコシのない弱い髪の毛が生成されるようになります。また、育毛に悪影響を及ぼし薄毛や抜け毛の原因となることも。

では、アミノ酸をどのように摂取したらいいのでしょうか。

マグロの刺身(シスチンを多く含む食材)

望ましいのは、毎日の食事の中にアミノ酸が多く含まれる食材を取り入れることです。シスチンを多く含む食材としては、カツオやマグロなどの魚介類、ブロッコリーや玉ねぎなどの野菜が挙げられます。

シスチンは、加齢とともに体内で生成できる量が減少するため、食材から積極的に摂取しましょう。
あさりの写真(メチオニンを多く含む食材)
一方、ケラチンの生成に欠かせないメチオニンは体内生成ができないため、食べ物から摂取する必要があります。

しじみやあさり、カキなどの貝類や乳製品、ほうれん草やにんじんなどの緑黄色野菜に多く含まれているので、意識して取り入れてみてください。なかなか食事から摂取できない場合にはサプリメントに頼るのも一つの手段です。

しかし、アミノ酸の場合はさまざまなアミノ酸をバランスよく摂取する必要があります。1種類のアミノ酸だけ多く摂取すると、体内でのアミノ酸バランスが崩れてしまいます。健康に悪影響を与える可能性もあるので、バランスを崩さないように摂取することを心がけましょう。

亜鉛の役割と摂取の方法

亜鉛を多く含む食材のイメージ画像

亜鉛は、体内で生成できない必須ミネラルの一つ。代謝や細胞分裂、免疫力の向上に関わるので、健康維持に欠かせない栄養素です。

また、髪の毛の主成分であるケラチンの生成に必要となるので、不足するとコシやハリのない髪の毛になることも。男性型脱毛症(AGA)を緩和するともいわれており、髪の毛の健康維持に欠かせない栄養素でもあります。

亜鉛は体内への吸収率が約30%といわれており、少量を摂取しただけでは不足しやすいので、積極的に摂取することが大切になります。

亜鉛を多く含む食材は、カキやウナギなどの魚介類、豚のレバーや卵黄、大豆製品、乳製品などです。幅広い食材に含まれているので、献立を工夫しながら毎日の食事に取り入れてみてください。

ビタミンの役割と摂取の方法

ビタミンCを多く含む食材のイメージ画像

ビタミンは、人の体の健康をサポートする作用や髪の毛が育ちやすい環境に整える作用があります。

ビタミンB2やB6は、代謝を活発化させて毛母細胞の分裂を促進する作用があるのです。また、ビタミンCはタンパク質の生成に必要な栄養素であるのと同時に、亜鉛の吸収もサポートしてくれます。そのため、健康な髪の毛を維持するためには欠かせない栄養素です。

ビタミンCは、みかんやレモンなどの柑橘類やイチゴなどの果物に多く含まれているところが特徴です。水に溶けやすく熱に弱い性質のため、できるだけ熱を加えず新鮮な状態で食べるようにしましょう。

サプリメントで摂取する場合は、亜鉛を摂取するときにビタミンCやクエン酸も同時摂取すると、相乗効果が期待できます。

まとめ

髪の毛は、ケラチンと呼ばれるアミノ酸が主成分です。そのため、アミノ酸を含む食材をバランスよく摂取することは重要になります。

もし、アミノ酸が不足したりバランスよく摂取できていない状態が続いたりすると、コシやハリのない髪の毛になってしまうでしょう。

また、アミノ酸の生成をサポートする亜鉛、そして亜鉛の吸収をサポートするビタミンCも同時に摂取することで、相乗効果が期待できます。健やかな髪の毛を維持するためにも、この3つの栄養素に着目しながら毎日の献立を考えてみましょう。

髪にはどんな「食事メニュー」が良いのか、詳しくは以下の記事で解説しています。こちらも併せて読んでいただくことで、髪と食の関係性の理解がより深まりますよ。ぜひご参考にしてみてください。

記事の参考URL

https://www.glico.co.jp/navi/dic/dic_26.html

https://united-clinic.com/columns/8385/

https://rivercity-clinic.jp/imc/anti-glycation/column_10/

https://www.aderans.co.jp/kamiwaza/usugeno_taisaku/zinc_nutrition_hair

 

公開日:2019/09/30

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