プロテインの副作用で抜け毛は増えるのか?筋トレと抜け毛・ハゲの関係性とは

ITコンサルタント、まちづくりコーディネーター、行政職員等を経て独立。沖縄-神奈川の二地域居住をしながら、ライターとして活動しています。子供の頃から「毛髪が太い」「きっと将来ハゲない」と親を始めその他大人から言われてきたため、油断しヘアケアを怠ってきました。その結果、額が後退してきており、若干焦っています。

突然ですが、皆さんはプロテインを普段から飲まれていますか? プロテインは筋肉をつくるタンパク質を手軽に摂取できるため、筋トレやダイエットの効率を上げることができます。

ところが、特に男性の方には気になるウワサが。SNSやネット掲示板を見ると、こんな書き込みがありました。

  • 「プロテインを飲んだら抜け毛が増えた」
  • 「筋トレを始めたら抜け毛の量が増えた。ハゲてしまうの?」

果たして「プロテインの副作用で抜け毛が増える」なんてことは起こるのでしょうか?

今回は、そんなウワサを科学的な視点から検証します。

監修者
皮フ科かわさきかおりクリニック 院長 川﨑 加織 先生
  • 皮フ科かわさきかおりクリニック
  • 院長 川﨑 加織
  • 兵庫医科大学病院、近畿大学医学部奈良病院や、美容クリニック・AGAクリニックなどで診療に従事
  • 現在は「皮フ科かわさきかおりクリニック」院長を務める傍ら、Webメディアや雑誌・TV番組の監修を通して
    正しいスキンケア・ヘアケア知識の普及に貢献

【資格】
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医

「プロテインで抜け毛増加」は本当にあるのか

マルとバツのプラカード

ご安心ください。「プロテインの副作用で抜け毛が増える」という科学的な根拠は現在のところ見つかっていません。それどころかプロテインの主成分であるタンパク質は、抜け毛防止に有効な成分なのです。

そもそも抜け毛は一日に平均して50本~100本程度は自然と出るもの。

また、季節によって抜け毛の本数も変わり、秋には200本~300本程度の抜け毛が出ても正常の範囲内であるといわれています。この程度の本数であれば、抜け毛を見つけてもそれほど心配する必要はありません。

抜け毛の本数の具体的なイメージは、「季節のせい?抜け毛が止まらない時に考えられる原因と対策」をご覧ください。

ですが、明らかに大量の抜け毛がある場合は注意が必要です。プロテインや運動以外の、他の原因で抜け毛が起きている可能性があります。

薄毛・抜け毛の主な原因については、「男性の薄毛・抜け毛の原因は?髪が生える基礎知識とセルフチェック法」で詳しく解説していますのでご覧ください。

筋トレが原因でハゲることはある?

筋トレをしている男性とダンベル

プロテインを飲んでいる人の中には、日々ジムに通ったり、筋トレに励んだりしている人も多いのではないでしょうか。

一部では、プロテインと同じように「筋トレや激しい無酸素運動をするとハゲる」というウワサが出回っています。このウワサは本当なのでしょうか?

結論からいいますと、「筋トレや激しい無酸素運動でハゲる」というウワサはやはり眉唾もの。気にしなくてもよさそうです。

薄毛の原因は様々ですが、そのひとつに「男性ホルモン(テストステロン)」の影響があります。

筋トレや無酸素運動をすることで、男性ホルモンの分泌量は確かに増加します。ですが、筋トレ・無酸素運動により増加した男性ホルモンは、薄毛に作用しづらいと考えられているのです。

もう少し詳しく解説します。

男性ホルモンが薄毛に作用する場合には、次のような化学反応が発生しています。

それは男性ホルモンである「テストステロン」が、「5αリダクターゼⅡ型」という酵素と結合し、「ジヒドロテストステロン」という化学物質に変化する、というもの。

テストステロンと5αリダクターゼⅡ型が髪の毛の成長を抑制する仕組みのイメージ図

この「ジヒドロテストステロン」が受容体と結びついて毛髪の成長を抑制し、抜け毛を進行させてしまうのです。

つまり、男性ホルモンであるテストステロンとともに、5αリダクターゼⅡ型の量も増加しないと薄毛は進行しません。

筋トレや激しい無酸素運動は、テストステロンの量を増やしても、5αリダクターゼⅡ型の量は増加させません。

したがって、筋トレでは薄毛は進行しないと考えられているのです。

筋トレと薄毛の関係について、詳細は別の記事『「筋トレではげる」は迷信?薄毛男性でも安心の筋トレ基礎知識』で解説していますので、こちらもご覧ください。

抜け毛は気にならない!? プロテイン愛飲者に聞いた

ここまで解説したように、プロテインや筋トレの副作用として抜け毛が増えたり薄毛が進んだりする可能性は低そうです。

それでは、実際に日々プロテインを愛飲している人たちは「プロテインと抜け毛」をどう体感しているのでしょうか?

プロテインを飲んでいる20代~60代の男女にインターネット上でアンケートを実施して、「プロテインを飲んで髪の毛に変化があったか」を調査してみることにしました。

まずはアンケート結果をご覧ください。

「プロテインを飲用することで、あなたの身体に変化はありましたは?」という質問への回答割合を表した円グラフ

「プロテインを飲んでいて身体に変化はあったか」という質問には、8割以上の方が「変化があった」と回答しています

身体へ起こった変化の内容を答えてもらったのが次の結果です。

「プロテインを飲用することで、どのような身体への変化を感じましたか?」という質問への回答を分類分けした棒グラフ

いちばん多かったのが「筋肉がつきやすくなった」という回答で、筋トレとセットでプロテインを飲用している方が多くいらっしゃいました。

一方で、プロテインを飲んだことによって抜け毛が増えた、という回答は1件もありませんでした。

プロテインを飲んでいるからといって、抜け毛が増えるのではないか、とむやみに心配する必要性は低いと考えて良いでしょう。

【調査概要】
調査対象者:プロテインを日常的に飲用している20代~60代の男女30人
調査方法:「クラウドワークス」上のアンケートフォームで回答を収集
調査日:2020年7月3日~4日

プロテインとの正しい付き合い方

タンパク質を多く含んだ食品のイメージ画像(納豆・生卵・鶏ささ身)

プロテインを正しく摂取すれば、むしろ抜け毛防止の手助けになります。

プロテインは抜け毛防止の手助けになる

そもそもプロテインとは、タンパク質を主成分とする健康補助食品のこと。そしてこのタンパク質は正しく摂取すれば、育毛を助けてくれる効果があります。

タンパク質は、髪の毛の主成分である「ケラチン」の素材となります。そのためタンパク質を適量摂り続けることは育毛にも有効なのです。

ちなみに、タンパク質には動物性・植物性の2種類があります。

  • 動物性タンパク質:牛乳や卵白から摂取可能。主にホエイプロテイン、カゼインプロテインに含まれる
  • 植物性タンパク質:大豆や小麦から摂取可能。主にソイプロテインに含まれる

育毛には、どちらかというと動物性より植物性タンパク質の方が好ましいといわれています。筋トレのみならず抜け毛防止や育毛のための栄養も補給したい方は、植物性タンパク質を主成分にするプロテインを選ぶとよいでしょう。

タンパク質の過剰摂取には要注意

プロテインやタンパク質の摂取が髪にとっていいことは確かですが、過剰に摂りすぎるのは身体に良くありません。

では、タンパク質は一日にどれくらい摂取して良いのでしょうか。厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)によると、15歳~64歳の男性は一日に65gのタンパク質を摂ることが推奨されています

主な食品に含まれるタンパク質含有量は、次のようになっています。

食品 食品100gあたりのタンパク質含有量
牛ばら肉(脂身つき・生) 11.0g
豚ばら肉(脂身つき・生) 14.4g
鶏もも肉(皮つき・生) 17.3g
鶏ささ身(生) 24.6g
鶏卵(全卵)
※100g=Mサイズ約2個分
12.3g
さんま(皮つき・生)
※100g=中サイズ約1尾分
18.1g
大豆(ゆで) 14.8g

※この表は横にスクロール可能です。

【出典】文部科学省/食品成分データベース

このように、タンパク質は日常的な食品にも含まれています。わざわざプロテインを摂取しなくても、日々の食事でまかなえる場合もあるのです。

それでは、もしタンパク質を過剰摂取してしまうとどんな影響があるのでしょうか。

タンパク質は体内で分解される過程において、人体に有害な毒素を発生します。その毒素は、普段は腎臓でろ過され、尿として体外に排出されます。

もしタンパク質を大量に摂りすぎると、腎臓で毒素を処理しきれなくなります。そして、体から排出すべき毒素が血液の中に溜まってしまうのです。

この症状は「尿毒症」と呼ばれています。そして尿毒症になると、例えば次のような症状が現れます。

  • 意識障害
  • 四肢のけいれん
  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 呼吸障害
  • 貧血
  • 痛風発作
  • 発汗異常
  • 網膜症 etc……

どのような症状が出るかは人によって異なりますが、全身の機能に様々な悪影響を及ぼします。タンパク質の過剰摂取にはご注意ください。

気になる抜け毛への対策は?

今回はプロテインの摂取が抜け毛に与える影響について解説しました。プロテインの副作用で抜け毛が増える、ということはあまり考えられません。むしろ成分的には育毛に有効だと考えられています。

ただし、抜け毛や薄毛の対策として、プロテインやタンパク質の摂取だけでは不十分です。抜け毛や薄毛でお悩みの方は、他の手段も検討する必要があります。

対策① 髪型を工夫して薄毛をカバーする

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※スヴェンソンのカットサービスによるビフォーアフター

髪型を工夫するだけでも印象は変わります。

カットとスタイリングに工夫を凝らせば、薄毛を目立たないようにすることもできるのです。

ただ、自分でカットしたり、スタイリングしたりするのはなかなか難しいもの。行きつけの美容室で薄毛の相談はしにくい……ということもあるかもしれません。

スヴェンソンには、毛髪理論を熟知した薄毛専門のスタイリストが個別の悩みにあわせてヘアカットをしてくれる「デザインカット」というサービスがあります。

カットだけでなく、頭皮ケアや薄毛に関する相談、アドバイスもしてくれます。

デザインカットについて詳しくは以下のページで解説していますので、ご覧ください。

対策② 頭皮ケア&クレンジング

薄毛になる主な原因のひとつは「頭皮環境の悪化」です。

自分ではしっかりとシャンプーしているつもりでも、日々の洗い残しが蓄積されていくと、頭皮がかゆくなったりベタついたりして、頭皮環境を悪化させてしまうかもしれません。

そんなとき、スヴェンソンの「頭皮ケア&クレンジング」はヘッドスパ感覚で手軽に利用できます。

スカルプクレンジングによって、毛穴の奥深くに詰まった老廃物や酸化した皮脂を完全に取り除いてくれるので、においやかゆみも解消できます。

スヴェンソンの「頭皮ケア&クレンジング」の頭皮洗浄イメージ図

※スヴェンソンの「スカルプクレンジング」のイメージ図

スヴェンソンの頭皮ケア&クレンジングについて詳しくは以下のページをご覧ください。

対策③ 正しい育毛ケアをリーズナブルに体験

普段からヘアケアを行っている人でも、その方法が本当に正しいものなのか、心配になることはありませんか?

スヴェンソンの「TIスカルプコントロール」というサービスでは、毛髪のプロによる育毛プログラムを受けることができます。

スヴェンソンの「TIスカルプコントロール」による頭皮洗浄プログラムを施術している様子

※スヴェンソンの「TIスカルプコントロール」による頭皮洗浄プログラムの施術中の様子

血行促進から頭皮の洗浄、栄養補給、そして維持と7つ(プランによっては6つ)のステップで行う本格的な育毛プログラム。

さらに、ご家庭での日常的なヘアケアに役立つ方法・知識をレクチャーしてくれます。

本格的な育毛ケアを知りたい人にもおすすめです。

スヴェンソンの「TIスカルプコントロール」について詳しくは以下のページをご覧ください。

なお、抜け毛や薄毛の予防・対策は、次の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてくださいね。

参考文献

服部道廣「養毛・育毛剤の評価法―人における新評価法―
スーパースカルプ発毛センター新宿南口店「筋トレするとハゲるって本当?筋トレとAGA・薄毛の関係を解説
スーパースカルプ発毛センター京橋店「健康な髪に必要なタンパク質。動物性?植物性?どちらのタンパク質?
厚生労働省「食事摂取基準(2020年版)
牧田善二「医者がプロテインをオススメしない怖い理由

公開日:2020/08/14

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