ストレスによる交感神経・副交感神経の乱れが薄毛の原因?

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

髪の毛を見てもらう男性

「AGA(男性型脱毛症)」と呼ばれる、男性に特有の薄毛の原因のひとつが「ストレス」であることをご存じでしょうか。精神的・肉体的なストレスによって、交感神経・副交感神経といった自律神経のバランスが乱れた結果、健やかな髪が育ちにくくなるのです。

しかし、神経の働きや交感神経・副交感神経の役割について理解している人はあまり多くないかもしれません。

この記事では、WebメディアやInstagramを中心にスキンケア知識の啓発に務める、医師の吉岡容子先生監修のもと神経の働き、交感神経・副交感神経のバランスをとる大切さをご紹介します。

さらに、薄毛や抜け毛、AGAなどにつながるストレスの影響についても解説していきます。

監修者
医療法人容紘会 高梨医院 皮膚科・美容皮膚科 副院長 吉岡 容子 先生
  • 高梨医院
  • 皮膚科・美容皮膚科
  • 副院長 吉岡 容子
  • 東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局
  • 明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚 院長を務めたのち、
    2014年「高梨医院 皮膚科・美容皮膚科」を開設。2019年より副院長。

【資格】
麻酔科標榜医、麻酔科認定医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医、日本レーザー医学会会員、
日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員、点滴療法研究会マスターズクラブ会員

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているわけではございません。

人間の身体に張り巡らされている「神経」とは

人間の身体の隅々に神経は張り巡らせている

ストレスについて取り上げる前に、まずは「神経」について基礎知識を整理しておきましょう。

人間の身体は、それぞれの組織と脳とをつなげるネットワークをもっています。これが「神経」です。神経を通じて身体の各部位にさまざまな情報や指令がもたらされ、身体はその営みを保っています。

神経は大きく分けると、脳や脊髄にある「中枢神経」と全身に張り巡らされる「末梢神経」の2つがあります。

末梢神経は、さらに自分の意志でコントロール可能な「体性神経」と、自分の意志ではコントロール不可能な「自律神経」に分けられ、それぞれの働きを担っています。

体性神経は、人間が手や足を動かそうと考え、その通りに動かす際に働く神経です。体性神経のほうが自律神経よりも早く伝わるようになっているので、瞬時に反応できます。

一方、自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っています。それぞれがアクセルとブレーキのように、互いでうまくバランスを保ちつつ、数多くの器官の働きを助ける役割を果たしているのです。

交感神経と副交感神経、それぞれの果たす役割

内臓器官のイラスト

自律神経は、心臓や肺、肝臓、胃腸、膀胱、内分泌腺、瞳孔、汗腺、血管などに分布しながら、数多くの内臓器官を細やかに調整しています。しかし、同じ自律神経でありながら交感神経と副交感神経とでは、その役割・伝達方法などが大きく異なることをご存じでしょうか。

交感神経は、全身の臓器や血管、汗腺などを支配するもので、朝から昼の時間帯にかけて優位になります。人が興奮したり、物事に集中したりしているときにも活性化するのが特徴です。

また、血管を収縮させ、心拍数を増やしたり、手足を冷やしたりする働きがあります。たとえるなら、交感神経は全身の器官を活動モードに変える「アクセル」のようなものです。

一方の副交感神経は、夜の時間帯に優位になり、人がリラックスしているときにも活性化しています。胃、直腸、膀胱などの器官に影響を与えたり、血管を広げたりする作用があり、副交感神経が優位になることで、寝つきもよくなります。

交感神経が身体の「アクセル」なら、副交感神経は「ブレーキ」だといってよいでしょう。この2つの自律神経が存在することで、人は精神的・身体的なバランスをとることができるのです。

交感神経と副交感神経のバランスが大事!

交感神経と副交感神経、アクセルとブレーキのバランスが乱れると、精神的・身体的に不安定になる場合があります。よく見られるのが、交感神経が優位に立ちすぎるケースです。

例えば、「いつも仕事に追われている」「長時間のデスクワークを余儀なくされている」「過度なストレスを受けている」などが原因で起こります。

また、下記のような問題が出るのは交感神経が優位になっている可能性があるでしょう。

  • いつも緊張している
  • 回復しにくい
  • 寝つきが悪い
  • 疲れやだるさがある
  • 倦怠感が取れにくい

しかし、副交感神経だけが優位になっていればよいわけでもありません。運動やほどよい緊張などで、交感神経を刺激することも大切です。

どちらかが優位に立ち続けるのではなく、自律神経のバランスを保つように気をつけていきましょう。

自律神経のバランスを崩すもっとも大きな原因が「ストレス」

ストレスを受ける能

では、なぜ自律神経のバランスが崩れるのでしょうか。

心拍数や血圧を調整する働きを持つ交感神経は、運動したり仕事に集中したりといったタイミングで自動的に活性化します。しかしこれとは別に、強制的に交感神経のスイッチが入ってしまうことがあります。この要因が「ストレス」です。

仕事でのトラブルや悩みごとを抱えたままでいると、アクセルがきいたままの状態で24時間以上過ごすことになり、いつしかそのアクセルを止められなくなります。これが続くと、「パニック症候群」などの症状を引き起こしかねません。

また、「さまざまな方面に気を張りすぎて周囲が見えなくなる」といった状態になることもあるでしょう。

さらに、疲れやだるさ、冷え、こり、胃腸の不調なども、交感神経が優位になり続けた結果です。上述した症状だけでなく、不眠症や自律神経失調症などに悩む人が増えているのも、ストレス過多な現代社会特有の問題だといってよいでしょう。

薄毛や抜け毛、AGAの原因もストレスにあり?

実は、薄毛や抜け毛、AGA(男性型脱毛症)といったお悩みの数々も、精神的・身体的なストレスが原因の1つ だとされています。

過度なストレスが自律神経の緊張状態を引き起こし、交感神経が優位になって、血流の悪さや身体の冷え、寝つきの悪さ、胃腸の働きの低下などをもたらす……これらが複合的に絡み合い、薄毛などの原因になるのです。

血液には、髪を作るための栄養分を頭皮の毛母細胞へ届けるという大切な役割があります。しかし、交感神経が優位な状態では、血管が収縮したまま血流が悪くなり、栄養素も滞りがちに。ただでさえ細い頭皮の血管にとって、血流の悪さは大きなダメージになります。

また、頭皮の温度が下がって頭皮が硬くなり、「髪が育ちにくくなる」「髪が細くなる」「抜け毛が増える」という問題も生じます。さらに、交感神経が活発に働くことで睡眠時間が低下したり睡眠の質が低下したりすることも、薄毛や抜け毛に拍車をかけるのです。

睡眠の質をあげるための方法は、以下の記事で解説しています。

まとめ

①血流悪化 ②毛母細胞へ栄養が届かない

この記事では、交感神経・副交感神経といった自律神経の果たす役割を解説しつつ、自律神経のバランスを保つ重要性についてお伝えしてきました。

精神的・身体的にストレスを受け続けることは、自律神経のバランスを崩し、血流の悪化や体温の低下、睡眠時間の低下など、髪の成長を阻害する要因になります。

現代において、ストレスを感じないことはなかなか難しいものです。そのため、意識して休憩をとったり、リラックスしやすい環境を整えたりするなど、副交感神経が優位に働きやすい状態を作るよう心がけてみましょう。

「就寝前のスマホを控える」「深呼吸をして呼吸を整える」など、ちょっとした心がけひとつで、あなたの薄毛や抜け毛を改善できるかもしれません。

薄毛とストレスの関係性については、以下の記事でも分かりやすく解説しています。併せてご一読ください。

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