男性の薄毛の特徴と治療方法

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

生え際を気にする男性、薄くなった頭頂部

男性型脱毛症(AGA)には、髪の毛が細く短くなり、長年放置してしまうと完全に髪の毛が生えなくなってしまうという特徴があります。薄毛がはじまる箇所は人それぞれですが、多くは生え際や頭頂部、前頭部などから起こります。治療には医薬品の使用や植毛がおすすめです。今回は、男性の薄毛の特徴や治し方についてご紹介します。

薄毛には男女差がある? 男性の薄毛の特徴とは

生え際を気にする男性と女性

男女問わず悩まされる方の多い薄毛の問題。薄毛にはいくつかの種類があり、特に有名なのが「男性型脱毛症(AGA)」と「女性男性型脱毛症(FAGA)」です。これらは似ているようで、症状に差があります。

男性型脱毛症(AGA)は、男性に起こる薄毛です。薄毛で悩む方の多くは、男性型脱毛症(AGA)の可能性があります。側頭部や頭頂部などの髪の毛がどんどん細く短くなり、いずれ完全に毛髪がなくなってしまいます。薄毛のはじまる年齢はさまざまですが、20代で男性型脱毛症(AGA)になる方は少数です。高齢になるにつれ発症率は上がります。

女性男性型脱毛症(FAGA)の多くは、頭頂部や前頭部、後頭部などから薄毛になっていくのが特徴です。完全に毛髪が抜け落ちてしまうことは少ないものの、広い範囲の毛が薄くなる傾向にあります。更年期に発症する方が多いようです。

男性型脱毛症(AGA)のタイプ一覧

男性型脱毛症には、薄毛の部位や進行具合によっていくつかのタイプに分けられます。ここでは、ハミルトン・ノーウッド分類と高島分類にもとづいて、薄毛のタイプをご紹介します。

ハミルトン・ノーウッド分類と高島分類

● 1型

薄毛がはじまったばかりのころだと、見た目に大きな変化はありません。ただ、頭頂部や生え際など、確実に毛髪が薄くなっています。

● 2型・2vertex・2a

1型が進行したステージ2の状態です。2型は生え際にそりこみが入ったようなM字型になります。「vertex」型は生え際の後退とともに、頭頂部の薄毛も進行するタイプです。「a」のつく型は前頭部の薄毛が進むタイプとなります。この段階になると、ひと目みただけで薄毛がわかるようになります。

● 3型・3vertex・3a

ステージ3です。さらに薄毛の範囲が広がっています。ただ、この段階までに治療をはじめられたら、薄毛の改善がはやまる可能性があります。治療費も安価に済むはずです。

● 4型・4a

ステージ4です。3型までは生え際の薄毛のみだったのが、4型になると頭頂部にも症状がみられるようになります。生え際と頭頂部の薄毛が特徴だった3vertexも、進行することで4型に収束します。4aは変わらず、前頭部のみの薄毛です。

● 5型・5a

ステージ5です。5型になると、毛髪の濃い部分が少なくなります。前頭部の薄毛部分と後頭部の薄毛部分がつながりそうな段階です。5a型は、前頭部の薄毛が頭頂部まで広がっています。

● 6型

ステージ6に差し掛かると、頭頂部までだった薄毛が後頭部にまで及びます。5a型が進行すると、6型に収束します。

● 7型

薄毛の最終段階です。前頭部・頭頂部・後頭部のほか、側頭部にまで薄毛が進行しています。

ステージ4以降になると、薄毛治療も本格的な対策が必要になります。薄毛がかなり進行するまで放っておくと、髪の成長に必要な毛母細胞がはたらかなくなってしまうためです。薄毛はできるだけ初期段階で治療するのが大切です。

男性型脱毛症(AGA)の原因とは?

毛母細胞と毛乳頭細胞に影響を及ぼすテストステロン、TGF-β

男性型脱毛症(AGA)の主な原因は、男性ホルモンのはたらきによるものといわれています。毛根にある毛母細胞が男性ホルモンの影響で髪の成長を止めてしまうためです。人間の髪の毛は数年間かけて成長し、太く強くなっていきますが、成長がストップすると短く細いままとなります。髪の毛の成長期が不十分な状態が続いた結果、頭髪は薄くなっていきます。

男性ホルモンが分泌されやすいか、もしくは男性ホルモンの影響を受けやすいかどうかは、遺伝によって決まるとされています。ご家族に薄毛の方がいてご自身も薄毛の場合は、遺伝が原因の男性型脱毛症(AGA)かもしれません。

薄毛治療に効果的な治療薬

育毛剤を使用する男性、薬やサプリメント

男性型脱毛症(AGA)による薄毛は、治療薬の使用で改善することがあります。有名なものはミノキシジルです。頭皮に塗って使用する薬剤で、薄くなった毛を成長させるはたらきがあります。ただ、目にみえて効果があらわれるまでは8カ月から1年ほどかかる場合もあります。効果のほども人によって異なり、薬を塗り続けても髪の毛が成長しない方も多いようです。

ほかの有名な治療薬に、フィナステリドという内服薬もあります。半年以上の服用で、髪の毛の成長を促す効果が期待できます。女性の服用に安全性が認められていないため、男性にしか処方されない薬です。

ミノキシジルもフィナステリドも、髪の毛を成長させられるかどうかは個人差があります。どちらにも副作用があるため、医師の処方に沿った使用をしなければなりません。ただ、これらの薬を使っている最中は、薄毛の進行を食い止められる可能性が高くなります。

自毛植毛による薄毛治療

自毛を植毛する手術のイラスト

男性型脱毛症(AGA)治療の手段として、自毛を植毛する手術が存在します。長期間の治療薬使用によって薄毛が改善しない場合、自毛植毛も選択肢の一つになります。自分の毛を移植するため、生着率も高めなのがメリットです。

ただ、男性型脱毛症(AGA)治療の多くは自費診療です。自毛植毛手術にも、かなり高額の治療費が発生します。十分な費用が用意できない方には難しい治療法といえます。

髪の毛が生えてこないときは、かつら(ウィッグ)も検討しよう

かつら(ウィッグ)

治療薬や植毛などに効果がみられないときは、かつら(ウィッグ)の購入も検討してみましょう。かつら(ウィッグ)は薄毛を治療するものではありませんが、QOL(クオリティーオブライフ)の向上に役立ちます。髪型や色など、自分の好きなように選べるのも利点です。かつら(ウィッグ)をつけると頭が蒸れて薄毛が悪化するという俗説もありますが、製品の進歩により今はそれらの問題が解消できるものも出てきています。

薄毛を食い止めるには、ヘアケアも大切

シャンプーがついた髪の毛

男性型脱毛症(AGA)の主な原因はホルモンのはたらきによるものです。ただ、間違ったヘアケアは薄毛を助長させる可能性もあります。これらの対処方法と平行し、適切なヘアケアを続けていきましょう。

髪の毛のことを考えると、気をつけて行いたいのは毎日の洗髪です。全体的に、シャンプーは優しく行いましょう。シャンプー前に髪の毛をくしですいておくと、髪の汚れが落ちやすくなります。ブラッシングの際は、髪の毛がからまっても無理に引っ張らないように注意が必要です。

シャンプー液をつける前には、ぬるま湯でしっかり髪の毛を潤します。毛穴を開かせて汚れを落としやすくするためです。浴槽にお湯を張っている場合は、何分間かつかることで毛穴が開けます。

シャンプー液はしっかりと泡立ててから髪に乗せましょう。原液を直接頭に塗り付けてしまうと、頭皮への負担が大きくなります。泡立てたシャンプー液をつけたら、指の腹のように柔らかい場所で優しく洗いましょう。シャンプー液を頭につけている時間は、できるだけ短いほうが無難です。洗い終えたらすぐにシャワーでシャンプー液を流します。液が残らないよう十分にすすぎましょう。

また、世の中には育毛効果をうたうシャンプーが多数流通しています。こういった商品はたいてい化粧品や医薬部外品扱いとなっており、育毛効果がはっきり証明されているわけではありません。育毛目的ではなく、髪の毛や頭皮をいたわるためのものと割り切って使うのがおすすめです。

成分表に書かれた医薬部外品

まとめ

薄毛で悩む男性の多くは、男性型脱毛症(AGA)です。生え際や頭頂部などから薄毛が進行し、そのままにしておくとすっかり髪の毛がなくなってしまいます。薄毛治療は早めに行うのがおすすめです。有効な治療薬はミノキシジルやフィナステリドで、効果がない場合には自毛植毛をすすめられることがあります。治療に平行し、適切なヘアケアを行うのも大切です。

参考URL

https://hagekatsu.com/hage-type/#FAGA
https://www.hairmedical.com/usuge/usuge-kaizen/
http://www.tokyo-med.ac.jp/derma/patient_care/symptom/datsumo.html
https://www.menshealth-tokyo.com/aga/aga_column_02/report01.html
https://www.kawasaki-usuge.com/blog/?p=129
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/14-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%AF%9B%E9%AB%AA%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%B1%E6%AF%9B%E7%97%87#v966163_ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/127/13/127_2763/_pdf/-char/ja

 

公開日:2019/02/28

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