「筋トレではげる」は迷信?薄毛男性でも安心の筋トレ基礎知識

ITコンサルタント、まちづくりコーディネーター、行政職員等を経て独立。沖縄-神奈川の二地域居住をしながら、ライターとして活動しています。子供の頃から「毛髪が太い」「きっと将来ハゲない」と親を始めその他大人から言われてきたため、油断しヘアケアを怠ってきました。その結果、額が後退してきており、若干焦っています。

突然ですが、「筋トレをするとはげる」というウワサを聞いたことはありませんか?「Yahoo!知恵袋」のようなQ&Aサイトや「2ch」のようなウワサが集まるサイトでも、「筋トレをするとはげるって本当?」といった疑問や憶測が飛び交っています。

特に男性の方は、筋トレをすると薄毛が進行してしまうのであれば、筋トレの頻度や運動量を考え直したいところですよね。

果たしてこの「筋トレをするとはげる」というウワサは本当なのでしょうか?抜け毛のメカニズムや普段から筋トレをしている方100人へのアンケート結果などを元に、徹底的に検証します。

監修者
医療法人容紘会 高梨医院 皮膚科・美容皮膚科 副院長 吉岡 容子 先生
  • 高梨医院
  • 皮膚科・美容皮膚科
  • 副院長 吉岡 容子
  • 東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局
  • 明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚 院長を務めたのち、
    2014年「高梨医院 皮膚科・美容皮膚科」を開設。2019年より副院長。

【資格】
麻酔科標榜医、麻酔科認定医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医、日本レーザー医学会会員、
日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員、点滴療法研究会マスターズクラブ会員

筋トレで髪の毛がはげることはある?

スポーツジムのランニングマシンで筋力トレーニングをしている男性のイメージ画像

結論から申しますと、「筋トレが薄毛を助長する」という科学的な根拠はありません。

「筋トレをするとはげる」というウワサは、突き詰めるとどうやら「筋トレをするとAGA(男性型脱毛症)になりやすい」ということのようですが、これは科学的根拠のないデマであると考えてよさそうです。

抜け毛(AGA)が起こる仕組み

AGA(男性型脱毛症)とは、男性ホルモンが悪影響を及ぼす脱毛症のこと。一般的に額の生え際や頭頂部が薄くなります。

では、そもそもなぜ抜け毛やAGAが発生するのでしょうか。抜け毛やAGAのメカニズムがわかれば「筋トレをするとはげる(AGAが進む)」というウワサが本当かどうかわかるはずです。

そして抜け毛(AGA)のメカニズムを理解するためには、「ヘアサイクル」という言葉について触れる必要があります。

髪の毛は、1本1本が毛根から伸びて成長し、抜け、また新しい毛が生えるという周期を繰り返しています。この周期のことを「ヘアサイクル」といいます。

ヘアサイクル(毛周期)のイメージ図

ヘアサイクルは「成長初期」「成長期」「退行期」「休止期」という4つの時期を繰り返しています。

・成長初期~成長期:毛髪が伸びていく時期。期間は3~5年程度
・退行期:毛髪の根元にある「毛球」が縮まり退化する時期。期間は2~3週間
・休止期:毛髪の成長が完全に休止する時期。期間は数ヶ月

毛髪が抜けるのは、休止期から成長期にかけてのタイミングです。成長の止まった髪が新しい髪に毛穴から押し上げられ、頭皮から離れ抜け落ちます。これが通常の抜け毛のメカニズムです。

「抜け毛が増える」「ハゲが進行する」といった症状は、このヘアサイクルに異常が発生し、成長期が短くなったり休止期が長くなったりしていることを意味します。

正常なヘアサイクルと異常なヘアサイクルの比較図

ヘアサイクルが乱れる原因は様々ですが、そのひとつにヘアサイクルを正常に保つ働きをしている「毛乳頭細胞」に異常が生じている場合があります。そして、このときに起きる脱毛症がAGA(男性型脱毛症)なのです。

AGA(男性型脱毛症)では、次のような化学反応が発生しています。

テストステロンと5αリダクターゼⅡ型が髪の毛の成長を抑制する仕組みのイメージ図

  • 男性ホルモンである「テストステロン」が、「5αリダクターゼⅡ型」という酵素と結合する
  • その結果「ジヒドロテストステロン」という化学物質に変化する
  • この「ジヒドロテストステロン」が、毛髪の根元にある毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合してヘアサイクルに作用し、毛髪の成長を止める方向に働きかける

これにより毛髪は太く長く成長することをやめ、細く短い状態でとどまり、次第に抜けてしまいます。髪の毛が抜け落ちた後に新しい毛が生えてくればよいのですが、男性ホルモン受容体とジヒドロテストステロンの複合体が、新しい毛髪の成長を阻害します。

このような作用により、薄毛が進行してしまうのです。以上がAGA(男性型脱毛症)の発生する仕組みです。

もっと詳しいことを知りたい方は、「男性の薄毛・抜け毛の原因は?髪が生える基礎知識とセルフチェック法」もあわせてチェックしてください。

筋トレで増えるのは「テストステロン」だけ

少々込み入った話でしたが、つまり「テストステロン」という男性ホルモンに加え、「5αリダクターゼⅡ型」という酵素が増加しないと薄毛は進行しません。

筋トレをすることでテストステロンの分泌量は増えますが、5αリダクターゼは増加しません。

したがって、筋トレでは薄毛は進行しないと考えられるのです。

筋トレで薄毛になったと感じますか?【筋トレしている人に調査】

ところで、実際に日々筋トレを行っている人は、薄毛と筋トレの関係をどのように考えているのでしょうか?

筋トレを習慣的に取り組んでいる男性100人にアンケートを取ってみましたので、結果をご覧ください。

「筋トレをしていて、ご自身の髪の毛が薄くなった」と自覚したことはありますか?」という質問に対しての回答を示した円グラフ(はい:3人、いいえ:97人)

「筋トレをしていて薄毛になった自覚があるか?」という質問です。

薄毛を自覚したという方も3人いらっしゃいましたが、9割以上が「筋トレによる薄毛の自覚はない」という回答でした。

回答者からのコメントを一部紹介します。

  • 筋トレをしている期間もしていなかった期間も差を感じなかった。また、筋トレをしている有名人や周りの人を見ても、そこまで薄毛の人はいないから。(20代・男性)
  • 筋トレを減らして抜け毛が減ったと感じた事もないし、筋トレを増やして抜け毛が増えたとも感じない。(30代・男性)
  • 運動する人にとって長い髪は邪魔になりやすく、短くする傾向があると思っています。短い髪だと汗などで薄く見えることが多いためハゲると言われるのではないかと思っています。(30代・男性)
  • 筋トレをすることで男性ホルモンが強くなると安易な想像からの話だと思います。(40代・男性)

アンケート結果を見る限り、筋トレを続けることが薄毛・ハゲに直接的につながるとは考えにくいと言えるでしょう。

【調査概要】
調査対象者:週に1回以上筋トレに取り組んでいる10代~60代の男性100人
調査方法:「クラウドワークス」上のアンケートフォームで回答を収集
調査日:2020年7月29日~30日

適度な筋トレ・運動は髪に良い影響をもたらす

ウォーキングに励むイメージ画像

このように、筋トレや運動が毛髪に大きな悪影響を与えることはなさそうです。むしろ適度な筋トレや運動は、髪に良い影響をもたらすと考えられています。

なぜ適度な筋トレや運動は髪に良い影響をもたらすのでしょうか。それは、運動により全身の血流が増加し、髪を健康的に育てる「成長ホルモン」が分泌されるからです。

成長ホルモンは、その名の通り骨を伸ばしたり、筋肉の発達を助けたりする効果があるホルモンのことです。ですがそのほかにも代謝やアミノ酸の吸収を促進し、タンパク質の合成を促す作用があります。

そして、人の毛髪はほとんどがタンパク質で出来ています。そのため、成長ホルモンは毛髪を太く長く育てる効果があるのです。

この成長ホルモンは、運動によって分泌が促進されます。

徳島文理大学の宇都宮 由依子氏・橋田 誠一氏によると、運動前と比べ運動終了後に多くの成長ホルモンが分泌されると言います。成長ホルモンの分泌量は、次の図のように運動強度に比例し増加することがわかりました。

運動強度と成長ホルモン分泌の関係を示した棒グラフ

(注)METs(メッツ)は身体活動の強さと量を表す単位。
1METs=座って安静にしている状態。

【出典】運動強度(METs)と成長ホルモン分泌の関連について

しかし後述しますが、「運動強度が高ければ高いほど毛髪にとっては良い」というわけでありません。それどころか、過度にハードな運動は毛髪に悪影響を及ぼす可能性もあります。

どんな運動に取り組めばいいのか?

それでは、適度な運動とはどの程度のものなのでしょうか。

形成外科医の田路めぐみ氏によると、理想としては以下のような運動であると述べています。

・少し息があがる程度以上のスポーツを週2〜3回
・もしくは筋トレ+有酸素運動+準備運動を合わせて1時間程度

ただし運動が苦手な人や、忙しくて時間がない人はストレッチだけでも良いとのこと。まずは少しでも体を動かすことが大事だそうです。逆に運動をしなければ、髪に悪影響を与える一部のテストステロンの働きだけが強く作用してしまい、薄毛が進行、AGAになる可能性が高まります。

ちなみに有酸素運動とは、以下のような運動のことを意味します。

・ウォーキング
・ジョギング
・ランニング
・サイクリング
・水泳
・エアロビクスダンスエクササイズ

度を超した筋トレや運動には気をつける

陸上競技場のトラックのイメージ画像

このように適度な筋トレや有酸素運動は成長ホルモンの分泌を促し、健康的な髪の毛を育てることにつながります。

ですが、度を超した運動は髪にとってもオススメしません。あまりに激しい運動を重ねると、毛髪の成長に悪影響を及ぼすことがあるのです。

その原因は「活性酸素」。活性酸素とは、化学的な反応性の高い状態となった酸素化合物の総称です。活性酸素が増えると体内の細胞を傷つけてしまい、結果として老化を促進し、白髪や抜け毛を増やしてしまう場合があります。

この活性酸素は、短い時間に大きな力を発揮するような強度の高い運動や、激しい無酸素運動により体内に増加します。

いくら運動により成長ホルモンが分泌されても、活性酸素により体内や毛髪にダメージが蓄積されては意味がありません。そのため度を超した激しい運動は毛髪にも悪影響だと考えられているのです。

ちなみに、無酸素運動とは例えば以下のような運動です。

・短距離走(スプリント)
・ウェイトリフティングなど

ところで、一体どこからが「適切な運動」で、どこからが「激しい運動」なのか、ご存知でしょうか?その程度はその方の運動習慣の有無によって異なります。

ですが、自分が運動していて「ちょっときつい」という状態を超えたら、それは「激しい運動」と考えて差し支えありません。

自分に合った方法で薄毛・抜け毛の対策を!

この記事では、「筋トレをするとはげる」というウワサについて検証しました。適度な運動や筋トレであれば、薄毛を進行させる心配はなさそうです。それどころか健やかな髪を育てる成長ホルモンの分泌を促しますので、積極的に運動すると良いでしょう。

一方で、激しすぎる運動は体内の活性酸素を増やし、老化を進め、白髪や抜け毛を増やしてしまう可能性もあります。ご注意くださいね。

なお、適度な運動をしていてもなお、抜け毛や薄毛が気になる方は、体の中からだけでなく、気になる部分を「カバーする」という視点で薄毛対策を検討してみましょう。

カバー方法① 薄毛が目立たないヘアスタイル

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※薄毛専門美容室スヴェンソンの「デザインカット」によるビフォーアフター

薄毛専門の美容室でヘアカットをお願いすると、薄毛・抜け毛が気になる部分を目立たなくカバーしながらも、自然な髪型に仕上げてもらうことができます。

薄毛専門美容室スヴェンソンは、髪型を変えるように髪を増やすことが自然な選択肢になってほしいと考えています。「増髪(ぞうはつ)」というコンセプトのもと、髪を増やすことは男磨きのひとつとして、様々なサービスを提供しています。

上の写真の男性も、実際にスヴェンソンの薄毛専門美容室でカットをしてもらいました。この男性のように短髪に仕上げてもらうことも可能なので、筋トレやスポーツを楽しむのに最適といえるでしょう。

スヴェンソンの薄毛専門美容室についてもう少し詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

カバー方法② 増髪(ウィッグ)を使う

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※スヴェンソンの編み込み式増髪(ウィッグ)によるビフォーアフター

ヘアスタイルを工夫するほかにも、本格的な薄毛対策としてウィッグ(かつら)を利用して気になる部分をカバーする、という方法もあります。

「ウィッグをして運動なんて考えられない」と思われる方も多かもしれません。

確かに、ひと昔前のウィッグは装着の安定性や耐久性があまり良くなく、スポーツにはあまり適していませんでした。しかし現在は、ウィッグの技術も格段に進歩しています。

筋トレやスポーツに励む方には、スヴェンソンが独自開発した「付けっぱなし」の編み込み式ウィッグがおすすめです。土台に特殊な糸を使って編み込むので、不意にズレたり外れたりする心配は無用。激しく動くスポーツにも適しています。

運動して汗をかいた後も、自分の毛と同じ感覚でシャンプーが可能。清潔な状態を長く保ち続けることができる、革新的なウィッグです。

スヴェンソンの「編み込み式増髪(ウィッグ)」についてもう少し詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

参考文献

田路めぐみ『東大医師が教える最強の育毛革命 ~ラーメンやめれば髪は勝手に生えてくる
公益財団法人長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは
ユーグレナ・マイヘルス「酸化ストレスとは
江崎グリコ株式会社「有酸素運動と無酸素運動の違いを知っていますか?

公開日:2020/09/25

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