記事コラム
かつらとは?種類や用途、ウィッグとの違いを解説
かつらとは、頭部に装着して頭髪を補ったり、別の髪型に見せたりするための製品です。薄毛や白髪をカバーする目的だけでなく、ファッション、コスプレ、医療用、舞台用など幅広い用途があり、全頭タイプと部分タイプに大きく分けられます。
本記事では、かつらの意味や主な種類、ウィッグとの違い、語源や歴史まで分かりやすく解説します。
かつらとは

かつらとは、頭につけて髪を補ったり、別の髪型に見せたりするための製品です。薄毛や白髪をカバーする目的だけでなく、扮装や演出のために用いられるものも含みます。ウェブ百科事典のコトバンクでは、『頭髪のように作って頭にかぶったり付けたりするもの』と説明されています。
【出典】コトバンク『鬘(読み)カツラ』
かつらとウィッグの違い
かつらとウィッグは、どちらも頭につけて髪を補ったり、髪型を変えたりするための製品を指し、機能そのものに明確な線引きがあるわけではありません。コトバンクでも、「wig」は「かつらの英名」と説明されており、言葉の意味としては大きく離れていないといえます。
【出典】コトバンク『ウイッグ』
日本語では、使われる場面や受ける印象によって呼び分けられやすい傾向があります。一般に、薄毛や白髪を補う目的のものは「かつら」と表現され、髪型や髪色を変えておしゃれを楽しむものや、医療用・ファッション用として案内されるものは「ウィッグ」と呼ばれやすいようです。
この使い分けに厳密な決まりがあるわけではなく、商品名や販売する会社によって表現は異なります。そのため、両者は基本的に同じ系統の製品であり、用途や印象に応じて呼び分けられていると捉えるのが自然です。
かつらにはさまざまな用途がある

前述のとおり、かつらは薄毛や白髪をカバーするためだけでなく、以下のシチュエーションでも用いられます。
- ファッションやイメージチェンジに使う
- コスプレでキャラクターの髪型や雰囲気を再現する
- 治療や脱毛症による外見の変化をカバーする
- 舞台や婚礼で使う など
用途によって重視する点は異なり、自然な見た目を優先するのか、扱いやすさを優先するのかで選び方も変わります。
ファッションやイメージチェンジに使う
かつらやウィッグは、髪色や長さ、髪型を手軽に変えたいときにも使われます。日常のスタイルチェンジに加え、イベントや特別な日のヘアアレンジに取り入れられることも多く、パーティーなどで活用されることもあります。
コスプレでキャラクターの髪型や雰囲気を再現する
キャラクターの髪色や髪型、長さ、ボリュームを再現するためにかつらが使われます。地毛では表現しにくい鮮やかな色や特殊なスタイルも取り入れやすく、衣装やメイクと合わせることで、キャラクターの雰囲気により近づけられます。また、地毛を染めたり大きくカットしたりする必要がないため、気軽にさまざまなキャラクターに挑戦できます。
医療用として使う
医療用のかつらやウィッグは、抗がん剤治療などによる脱毛や、円形脱毛症をはじめとした脱毛症による外見の変化をカバーするために使われます。
国立研究開発法人国立がん研究センターの『がん情報サービス』でも、外見の変化に対するアピアランスケアの一つとしてウィッグが案内されており、仕事や外出など使う場面、着用時間、通気性、重さ、つけ心地などを考えて選ぶことがすすめられています。
【出典】国立研究開発法人国立がん研究センター『アピアランスケア:がんの治療による外見の変化とケア』
舞台や婚礼で使う
かつらは、舞台で役柄に合った髪型を表現したり、婚礼で伝統的な髪型を再現したりする場面でも使われます。
例えば、伝統的な和装の結婚式で「文金高島田」の髪型を実現する際には、かつらの使用が一般的となっています。かつらには「全かつら」「半かつら」「地毛結い」の3種類があり、花嫁の好みや髪の長さに合わせて選べます。
【出典】合同会社yuen『和装ウェディングのヘアメイク完全ガイド』
このように、現代のかつらやウィッグは、伝統的な儀式から医療、ファッションまで、幅広い分野で使用されており、私たちの生活に欠かせない存在となっているのです。
かつらは大きく分けて2種類

かつらは、大きく分けると、頭全体を覆う全頭かつらと、気になる部分だけを補う部分かつらがあります。どちらが合うかは、補いたい範囲の広さや地毛の状態、見た目の仕上がり、着け外しのしやすさによって変わります。
頭全体を覆う全頭かつら
全頭かつらは、頭全体を覆って髪型全体を整えるタイプです。地毛の量や髪型に左右されにくく、薄毛の範囲が広い場合や、髪型の印象を大きく変えたい場合にも使いやすい特徴があります。
全体をまとめて整えやすい一方で、着け心地や通気性、生え際の見え方には製品ごとの差が出やすいため、見た目だけでなく装着感も確認して選ぶことが大切です。
気になる部分を補う部分かつら
部分かつらは、つむじや前頭部など、気になる部分だけを補うタイプです。ヘアピースやツーペと呼ばれることもあり、地毛を生かしながら自然にボリュームを足しやすい点が特徴です。
全頭かつらに比べると軽く感じやすく、薄毛の初期段階や、特定の部分だけ印象を整えたい場合に向いています。ただし、地毛になじませて使うため、色や毛流れ、装着位置が合っていないと境目が目立ちやすくなることがあります。
かつらの毛材

かつらの素材は、大きく分けると人毛、人工毛、ミックス毛があります。違いが出やすいのは、見た目の自然さ、スタイルの保ちやすさ、日々の手入れのしやすさです。自然に見えることを最優先する方もいれば、毎日の扱いやすさを重視する方もいるため、素材の特徴を知ったうえで選ぶことが大切です。
| 素材 | 自然さ | 手入れのしやすさ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 人毛 | ◎ | △ | 自然だがケアが必要 |
| 人工毛 | △ | ◎ | スタイルが崩れにくく楽 |
| ミックス | 〇 | 〇 | 自然さと楽さの良いいとこ取りだが製品による |
人毛の特徴
人毛の大きな特徴は、質感や毛流れが自然で、地毛になじみやすいことです。髪の動きや手触りがやわらかく、見た目の印象をできるだけ自然に整えたい場合に向いています。色味やボリュームの出方も比較的なじみやすいため、日常使いで周囲に気づかれにくい仕上がりを求める人に選ばれることが多い素材です。
一方で、人毛は自分の髪と同じように状態が変わりやすく、使い方や保管の仕方によって質感に差が出やすい面があります。乾燥や絡まりを防ぎ、自然な見た目を長く保つためには、ブラッシングや保管方法など、日々の扱い方に気を配ることが大切です。自然な見た目を重視したい方には向いていますが、日々のお手入れのしやすさも含めて、使用頻度やライフスタイルに合うかを検討するとよいでしょう。
人工毛の特徴
人工毛は、形が整いやすく、スタイルを保ちやすい点が特徴です。製品によって差はありますが、髪型が崩れにくいため、毎回のヘアセットに時間をかけたくない方や、一定の形を保ったまま使いたい方に向いています。比較的耐久性も高く、扱いやすい素材として選ばれることが多く、かつらを日常的に使用する場合にも使いやすさを感じやすいでしょう。
その反面、製品の仕様や光の当たり方によっては、素材特有のツヤや質感が出やすいことがあります。特に、近くで見たときのなじみ方や毛先の動きは、製品の品質によって差が出やすい部分です。見た目の自然さを重視する場合は実際の見え方や地毛とのなじみやすさも含めて選ぶとよいでしょう。手入れのしやすさやスタイルの安定感を重視するなら、有力な選択肢になります。
ミックス毛の特徴
ミックス毛は、人毛と人工毛を組み合わせた素材で、それぞれの長所をバランスよく取り入れたい場合に向いています。人毛だけでは手入れが気になる、人工毛だけでは仕上がりが不安という場合に選ばれやすく、自然さと扱いやすさの中間を取りやすいことが特徴です。日常使いで見た目にも配慮したい一方、管理の負担はできるだけ抑えたいという方には相性がよい素材といえます。
ただし、それぞれの特徴をあわせ持つ素材であるため、両方の長所がある一方で、扱い方や見え方にはそれぞれの特徴が出る場合があります。製品ごとに配合の考え方や仕上がりが異なるため、同じミックス毛でも印象や使い心地に差が出ます。したがって、毛材の種類だけで判断するのではなく、製品ごとに見た目、重さ、なじみ方、手入れのしやすさまで含めて検討することが大切です。
かつらの語源や歴史

かつらは、古くは「かづら」とも呼ばれ、日本では装身に関わる言葉として使われてきました。一方、西洋では正装や衛生対策などを背景に広まり、時代とともに意味や役割を変えてきました。近代以降は製造技術の進化によって、多様な製品が作られるようになっています。
「かつら」の語源には諸説あり、古くは「かづら」とも呼ばれていた
「かつら」という言葉の語源には諸説ありますが、その一つとして、古く使われていた「かづら」との関係が挙げられます。辞書でも、鬘は「かずら」ともいい、語源は「髪葛(かみかずら)」に由来するという説があると説明されています。古代の「かずら」は、蔓草や花、葉、玉などを頭に飾るものを指し、『万葉集』にも菖蒲や橘などを「かずら」として髪に飾ろうとする表現が見られます。
【出典】コトバンク『鬘(読み)カツラ』
また、古典資料でも「鬘(かづら)」という表記が見られます。國學院大學の『古事記』関連資料では、『天の石屋』の場面に「天之真折を鬘(かづら)と為して」とあり、鬘が装身の文脈で用いられていることがうかがえます。
【出典】國學院大學 「古典文化学」事業『天の石屋②』
こうした点を踏まえると、「かつら」は現在のような頭髪を模した製品だけを指す語として始まったのではなく、古くは「かづら」として用いられていた言葉とのつながりのなかで捉えられます。
西洋では正装や衛生対策として広まった
西洋でウィッグが普及した背景には、16世紀後半にヨーロッパ全土で梅毒が流行し、脱毛を隠す手段として用いられるようになったことが影響しているといわれています。
【出典】European Fashion Heritage Association (EFHA)『Perukes: Costume to Custom』
18世紀には、上流階級の男性にとってウィッグは正装の一部として欠かせないものとなりました。スイス国立博物館の解説でも、かつらはフランス宮廷で流行した後、ヨーロッパ各地へ広がり、長く社会的地位の象徴でもあったとされています。
また、不衛生な環境下で頻繁に発生したシラミ対策として、髪を短くしてウィッグを使用する習慣も生まれたようです。
西洋のかつら文化は、単なるおしゃれというより、正装、身分、身だしなみの管理が重なって発展したものといえます。
【出典】Swiss National Museum『The power and pomp of the wig』
製造技術が進化し多様な製品が開発されるようになった
18世紀後半に使用されていたかつらには人毛だけでなく馬毛も用いられていたこともわかっています。マサチューセッツ歴史協会に所蔵されている当時のかつらには、人毛と馬毛が使用されており、かつら用の粉を入れる容器やパフもセットで残されています。
現代では人毛、人工毛、両者を組み合わせた製品が広く作られるようになりました。人工毛には合成繊維が使われ、人毛はより自然な見た目やスタイリングのしやすさが特徴です。さらに、レースフロント、フルレース、モノフィラメント、手植えなど、かつらのベースの素材や製造方法も発達しており、見た目の自然さや通気性、装着感に配慮した多様な製品が作られるようになりました。
【出典】Massachusetts Historical Society『Wig belonging to Henry Bromfield』
かつらに関する疑問

かつらは種類や用途が幅広いため、実際に使う場面を考えると「自然に見えるか」「毎日使えるか」「手入れは難しくないか」といった疑問を持つ方も少なくありません。ここでは、かつらを検討するときに気になりやすい点をQ&A形式で整理します。
Q.かつらだとなぜバレやすい?
A.かつらが不自然に見えやすい主な理由は、色や毛量、髪の流れ、生え際のなじみ方が本人の地毛や骨格に合っていないためです。特に、生え際が一直線に見える、毛量が多すぎる、地毛との境目が目立つといった状態では、違和感につながりやすくなります。最近は自然に見えやすい製品も増えていますが、選び方や装着方法によって印象は大きく変わります。
Q.かつらは毎日使ってもよい?
A.毎日使うこと自体は可能ですが、無理なく続けるには、着け心地や手入れのしやすさがライフスタイルに合っていることが大切です。長時間使う場合は、重さや通気性、頭皮への負担も考慮することが必要があります。
毎日使う場合は、見た目の自然さだけでなく、扱いやすさや自分の生活に合うかどうかまで含めて選ぶことが重要です。
Q.かつらのお手入れで気をつけたいことは?
A.かつらは毛材によって扱い方が変わるため、人毛、人工毛、ミックス毛の違いを踏まえて手入れしましょう。無理に引っ張ったり、保管方法が合っていなかったりすると、毛の質感や形が崩れやすくなることがあります。きれいな状態を保つには、日常の扱い方だけでなく、購入時に手入れ方法を確認しておくと安心です。
まとめ

かつらとは、頭髪を補ったり、別の髪型に見せたりするための製品です。薄毛や白髪をカバーする目的だけでなく、ファッション、医療用、舞台用、婚礼用など幅広い用途があり、全頭かつらと部分かつらに大きく分けられます。ウィッグとは基本的に同じ意味で使われることが多いものの、日本語では用途や印象によって呼び分けられることがあります。
素材や種類によって、自然さや手入れのしやすさは変わります。自分に合ったかつらを選ぶには、用途や装着感まで含めて考えることが大切です。増毛・ヘアケアサービスを提供するスヴェンソンでは、自然な見た目や着け心地にこだわったかつら・ウィッグを扱っているため、気になる方は一度確認してみてください。


