「相談に行っただけなのに…」カツラメーカーへの復讐劇 後編

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

俺のカツラ作戦とカツラライフの順調な滑り出し

オフィス風景

カツラをしてからの初出勤。もし「これ」を指摘されたら正直に答えようとは思っていた。会社に到着し社内に入ると、早速、髪型の変化に気付いたような同僚や上司たちの表情が目に入ってきた。

「やっぱり、分かっちゃうよね」と、俺は心の中でつぶやいた。みんなの視線が気になる。でも、誰も髪型について突っ込んではこない…。もどかしい。仕事をしながら、誰か突っ込んでくれとひそかに祈っていた。そして、10時の休憩に入った。やはり、俺の頭に視線が集まっている。突っ込んでさえくれれば、答える準備は万端だというところに、仲の良い同僚が声をかけてきた。「今日、いつもと違うな」ようやく突っ込んできたか。俺は慌てるような素振りはせず、いつものような受け答えで一言「そう?」とだけ返した。

その同僚も平然と答えた俺にもどかしく思ったのか、「おまえ、いつもより髪の毛増えていないか?それ、カツラか?」と、ついに核心をついてきた。俺は静かに「そうだよ」とうなずいた。

同僚は一瞬拍子抜けしたような顔をしたものの、その後、怒濤の勢いで質問してきた。「触っていい?」「ずっと付けたまま?」「いくらくらいした?」…俺は新しい時計を買ったときのように、淡々と説明をしてやった。それから案の定、社内で俺がカツラだという噂が広がった。別の部署から俺の頭を見に来る人もいた。ただ、そんな騒ぎも10日くらいで静まった。人間というのは、隠そうとしたり、嫌がったりするからこそ、からかいたくなるものだ。こちらが卑屈にならず普通に振る舞っていたものだから、からかいがいがなくなって面白くないとでも思ったのだろう…。俺の作戦勝ちだ。「カツラライフ」も順調な出足となった。

薄毛の悩みから、カツラの悩みへ

しかし、良い状態は続かなかったのだ。今度は、カツラのことで悩むことになった。人工毛を使用しているカツラは、ちょうど釣り糸に用いる天蚕糸(てぐすいと)と同じ性質だ。なので、使っているうちに縮まってきたのだ。このままでは不自然な髪型になってしまう。俺は、すぐにカツラのメンテナンスをお願いしに、購入したお店に足を運んだ。店内でメンテナンスが終わるまで待っていると、そそくさと営業マンが俺に話しかけてきた。

「新しいカツラが出ました。いかがですか?」

押し売りだった。新製品がいかに良いものだと熱弁を振るう営業マン。30分くらいだっただろうか。こちらとしては3時間くらいつまらない演説を聞かされた気分になった。メンテナンスに行くたびに、こんな話を聞かされ押し売りされるのかとうんざり。そのうち、お店には足を運ばなくなった。おかげで、カツラはどんどん傷んでいく。新しいものを買うつもりもない。新たな悩みを募らせた俺は、いっそのことカツラを止めて、坊主にしようかと考え始めるようになった。

カツラへの復讐を始めたあの日

ピストルを持つ男性

薄毛の悩みを増幅させたカツラが憎い。坊主にする前に「カツラへの恨みを晴らしたい」という思いに駆られた俺。テレビや新聞の広告などで「復讐のターゲット」を探した。そこで見つけたのが、地毛に編み込めるカツラを売りにした会社の「3カ月間無料モニター」だった。「俺の恨みを晴らせてもらうぜ」と心の中でつぶやいた。自分のイライラをぶつけるのはどこでも良かった。俺は、すぐに問い合わせて店に駆け込んだ。

落ち着いた雰囲気の店内だったが、俺にとっては雰囲気などどうでもいい。恨みを晴らすのみだ。早速、無料モニターの担当者から「どんな髪型にされますか?」と尋ねられた俺は言い放ってやった。「茶髪のロン毛にしてください」と。

少し担当者がひるんだような表情を確認した後、「できません」という言葉を手ぐすねを引いて待っていた。しかし、予想外の答えが返ってきた。

「ロン毛はすぐには無理ですけど、茶髪からやってみますか?」

驚いた。できるって…思わず俺の口から出た言葉は「じゃあ、お願いします」。拍子抜けした。でも、「だまされねえぞ」。次回の来店の際にリベンジを誓った。

復讐のはずが…

2回目の来店。人生初の脱色を経験、さらに茶色に染められた。ここの会社が扱っているのは人工毛ではなく本物の人毛だった。毛は折れる、抜けやすい、色が落ちやすいなんて、良い評判を聞いていなかった。大丈夫だろうか?いや俺は恨みを晴らしにきたんだから、もし、おかしいところがあれば文句を付けてやればいい。そんな物騒なことを考えていた俺の頭にカツラを編み込んでいき、専属の美容師が髪を切り始めた。

髪を切る音がやけにリズミカルで軽い。その音に気を取られていたが、しばらくして鏡に目を向けると、見たことのない俺がいた。

「あれ、ちょっといつものカツラと違うんじゃない?」

茶髪で直毛姿の俺が目の前にいたのだ。

最初は困らせてやろうと思って注文を付けた「茶髪のロン毛」。そういえば、薄毛で悩み始めた俺が20代のころ、トレンディドラマで話題になったキムタクの茶髪のロン毛姿に憧れたことがあった。でも、髪の少ない俺には絶対無理だとあきらめていた。それが今、俺にもできる。さらに長くなれば後ろで髪を結ぶこともできる。心が躍った。それから、俺の人生が大きく変わっていった。

色づいた俺の人生

ジャンプする男性

3カ月の無料モニターが過ぎ、そのまま継続を決めた。このカツラで自分の理想の髪型を手に入れ、これまで悩んでいた薄毛やカツラのことが全く気にならなくなった。今は、風が吹いてもカツラが飛ばされないかなどと心配しなくていい。突然の雨に降られても濡れたらタオルドライをするだけだ。シャンプーで洗っても取れたりしないし、もちろん濡れた髪を地毛のようにドライヤーで乾かすこともできる。そして朝、寝癖のついた頭を鏡で眺めてにやけながら直す自分がいる。

この編み込み式のカツラで一番感動したこと…。それは、元の髪が長くなり、自然と全体の毛髪が伸びていくので、月に1回散髪に店に行くことだ。薄毛のころには、髪の毛が伸びたから床屋に行くとか、考えたことがなかった。

「前髪が伸びてきたから、そろそろ切らないと」

何気ない一つ一つの日常の行動が、当たり前のようにできることがうれしい。薄毛に対するストレスが一気にぶっ飛び、気持ちが楽になった。

今は黒の長髪姿になった俺。外出も増えて、古着屋で自分に似合いそうな服を選んだり、カフェでゆっくりお茶をしたり、映画館に行ったりしている。友人からは、風で乱れた髪を見て「それ、カツラだったよな。取れないの?」と驚かれることもある。周りの人にカツラだと感じさせない俺の自慢の髪。いつもプライベートが充実しているから、自然と働く気力も湧いてくる。人生バラ色とまでは言わないが、限りなくバラ色に近いことは間違いない。

 


この物語に出てくる「編み込み式の増髪」はスヴェンソン。スヴェンソンは、髪型を変えるように髪を増やすことが自然な選択肢になってほしいと考えています。「増髪(ぞうはつ)」というコンセプトのもと、髪を増やすことは男磨きのひとつとして、様々なサービスを提供しています。

詳細は以下リンクからご覧ください。まずは気軽に無料体験!納得してから始められます。

 

公開日:2019/11/29

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